エネルギー動向 2025年6月版|第1章 第3節「一次エネルギーの動向(国内)」(石油) ≡ 総合目次 🔗 公式 ↗

入試問題ネタ帳 / グラフ読解ページ

国内エネルギー動向 | 第1章 第3節

一次エネルギーの動向 ― 石油

石油の供給・輸入構造・備蓄・価格の推移を8枚のグラフで整理。中東依存・輸入価格変動・国家備蓄が入試頻出テーマ。

図はクリックで拡大/解答例はクリックで開閉/目次から各図へジャンプ。

出典:資源エネルギー庁「エネルギー動向(2025年6月版)」第1章第3節(クリックで公式ページ)を基に作成

この節で何が言えるか(3行サマリー)

図を読む前に「森」を押さえる / 8枚の図はこの3点を多角的に支える

図13-1-1

石油供給の推移

図13-1-1 石油供給の推移
資源エネルギー庁「エネルギー動向(2025年6月版)」
🔍 クリックで拡大

📈 特徴(読み取り)

  • 1970年代の二度のオイルショック後、供給量は減少傾向に転じた。
  • 1980年代後半から1990年代前半にかけて一時増加したが、その後は再び減少。
  • 近年は省エネ・電化の進行と新型コロナの影響で低水準が続く。

🔍 背景・原因

  • 1973年・1979年のオイルショックを機に省エネ政策(省エネ法)が推進され、石油消費が大幅抑制された。
  • 脱石油として天然ガス・原子力・石炭が代替導入された。
  • 2020年は新型コロナによるガソリン・ジェット燃料需要の急減。

💡 意味・示唆

  • 石油への一極依存から多様化・節約へのシフトが長期傾向。
  • 供給量低下=輸入金額の削減とは直結しない(価格上昇で総額は増大した局面もある)。

📝 出題アイデア

  • 読取石油供給量が急減した1970年代の出来事を2つ挙げよ。
  • 記述オイルショック後に日本が脱石油を進めた手段を3つ述べよ。
  • 正誤「日本の石油消費量は1990年代以降一貫して増加している」の正誤を根拠とともに答えよ。
  • 読取:第一次オイルショック(1973年)と第二次オイルショック(1979年)。
  • 記述:①省エネ法に基づく省エネ技術の導入・普及、②天然ガス(LNG)・石炭・原子力への代替、③産業構造の転換(重厚長大→加工組立・サービス)。
  • 正誤:誤り。供給量はオイルショック後に減少し、近年も低下傾向にある。
図13-1-2

原油の国産・輸入別供給の推移

図13-1-2 原油の国産・輸入別供給の推移
資源エネルギー庁「エネルギー動向(2025年6月版)」
🔍 クリックで拡大

📈 特徴(読み取り)

  • 原油供給のほぼ全量を輸入が占め、国産は極めて微小(数%以下)。
  • 輸入量は長期的に減少傾向にあるが、国産の絶対量も増えていない。

🔍 背景・原因

  • 日本国内には大規模な油田がなく、資源賦存量が乏しい。
  • 国内の僅かな産出地(新潟・秋田等)の生産量は高コストで競争力が弱い。

💡 意味・示唆

  • 原油の輸入依存度は事実上100%に近く、国際価格と為替が国内経済に直撃する。
  • エネルギー安全保障における石油の最大の弱点を示す。

📝 出題アイデア

  • 読取日本の原油供給に占める国産の割合は概ねどの程度か。
  • 記述原油輸入依存が高いことの経済的・安全保障上のリスクを2点述べよ。
  • 小論日本が原油の輸入依存を減らすために取り得る政策を論ぜよ。
  • 読取:国産は数%以下で、ほぼ全量が輸入。
  • リスク:①国際価格変動が直接コスト・貿易収支に波及する価格リスク、②産油国・輸送ルートの政情不安や紛争による供給途絶リスク(地政学リスク)。
  • 小論:石油代替(再エネ・水素・電化推進)による需要削減、権益確保・資源外交による調達多様化、国家石油備蓄の充実が有効。
図13-1-3

原油の輸入先(2023年度)

図13-1-3 原油の輸入先(2023年度)
資源エネルギー庁「エネルギー動向(2025年6月版)」
🔍 クリックで拡大

📈 特徴(読み取り)

  • 2023年度の中東依存度は94.7%。サウジアラビア・UAE・クウェート・カタール等が主要供給国。
  • 非中東(ロシア・米国等)からの輸入は数%に過ぎない。

🔍 背景・原因

  • 中東は世界最大の原油埋蔵量を持ち、大量・安定的・安価に供給できる。
  • 日本との距離(シーレーン:マラッカ海峡経由)は長いが輸入コストが相対的に低い。

💡 意味・示唆

  • 中東地域の政情不安・ホルムズ海峡封鎖リスクが日本の石油供給に直接影響する。
  • 輸入先多様化が課題だが、価格競争力から中東依存は解消しにくい。

📝 出題アイデア

  • 読取2023年度の原油輸入における中東依存度を答えよ。
  • 記述ホルムズ海峡が封鎖された場合に日本が受ける影響を説明せよ。
  • 組合せ主要輸入先(サウジアラビア・UAE・クウェート)と位置する地域(湾岸)を地図と対応させよ。
  • 読取:94.7%。
  • 記述:中東原油の多くがホルムズ海峡を通過するため、封鎖されると原油輸入の約95%が途絶するリスクがあり、エネルギー供給・国内産業・生活に深刻な打撃を与える。
  • 組合せ:いずれもペルシャ湾岸(中東)に位置する産油国で、ホルムズ海峡を経由して輸出される。
図13-1-4

原油の輸入量と中東依存度の推移

図13-1-4 原油の輸入量と中東依存度の推移
資源エネルギー庁「エネルギー動向(2025年6月版)」
🔍 クリックで拡大

📈 特徴(読み取り)

  • 中東依存度:1967年度91.2%→脱石油で1987年度67.9%に低下。
  • その後再び上昇し、2022年度過去最高95.2%、2023年度94.7%。
  • 輸入量自体は長期的に減少傾向(ピークから3〜4割減)。

🔍 背景・原因

  • 1980〜90年代は北海油田・東南アジア産油国からの調達増で依存度が低下。
  • その後アジア産油国の内需増大で輸出余力が縮小し、中東回帰が進んだ。
  • ロシア産が制裁対象となったことも中東依存度を押し上げた。

💡 意味・示唆

  • 脱石油は進んだが、中東依存は過去最高水準近辺で推移という逆説的な構造。
  • 輸入量が減っても調達先が集中すれば地政学リスクは残る。

📝 出題アイデア

  • 読取中東依存度が最も低かった時期と値、および直近の値を答えよ。
  • 記述1980〜90年代に中東依存度が低下し、その後再上昇した理由を述べよ。
  • 正誤「脱石油が進んだため、中東への依存度も低下している」の正誤を答えよ。
  • 読取:1987年度頃に約67.9%と最低。2023年度は94.7%。
  • 記述:1980〜90年代は北海・東南アジアからの輸入増で低下した。その後アジア産油国の経済発展で国内消費が増え日本向け輸出が減り、中東に回帰した。
  • 正誤:誤り。輸入量自体は減少したが、輸入先は中東への集中が進み依存度は過去最高水準に達している。
図13-1-5

原油生産に占める国内向け・輸出向け原油の内訳の推移

図13-1-5 原油生産に占める国内向け・輸出向け原油の内訳の推移
資源エネルギー庁「エネルギー動向(2025年6月版)」
🔍 クリックで拡大

📈 特徴(読み取り)

  • アジア産油国(インドネシア・マレーシア等)の原油生産に占める輸出向け割合が長期的に低下傾向。
  • 国内消費向けが増加し、日本への輸出余力が縮小している。

🔍 背景・原因

  • アジア産油国自身の経済成長・工業化・人口増でエネルギー需要が拡大。
  • 生産量の増加より国内需要の増加が速く、輸出余力が減少。

💡 意味・示唆

  • 日本が非中東産油国からの調達を増やしにくい構造的要因の一つ。
  • 中東依存度上昇の背景として「アジア産油国の需要増」を理解する必要がある。

📝 出題アイデア

  • 読取アジア産油国の輸出向け原油の割合はどのように変化しているか。
  • 記述アジア産油国の輸出余力が減少した理由を、経済発展の観点から説明せよ。
  • 組合せこのグラフが示す現象と日本の中東依存度上昇の関係を説明せよ。
  • 読取:輸出向け割合は長期的に低下している。
  • 記述:アジア産油国自身の経済成長・工業化・人口増加により国内エネルギー需要が拡大し、生産量のうち国内向けが増えて輸出余力が縮小した。
  • 組合せ:アジア産油国からの輸入が困難になったため、日本は供給余力の大きい中東への依存を高めざるを得なかった。
図13-1-6

日本及びIEA加盟国の石油備蓄日数(2024年8月時点)

図13-1-6 日本及びIEA加盟国の石油備蓄日数(2024年8月時点)
資源エネルギー庁「エネルギー動向(2025年6月版)」
🔍 クリックで拡大

📈 特徴(読み取り)

  • 日本の石油備蓄日数は203日分(2024年8月時点)。
  • IEA(国際エネルギー機関)が求める90日分の2倍以上を確保。
  • 国家備蓄・民間備蓄・産油国共同備蓄の三層構造。

🔍 背景・原因

  • オイルショックの教訓から、日本は石油備蓄法(1975年)に基づく国家備蓄を整備。
  • 中東依存が高い分、供給途絶リスクへの備えを厚くしている。

💡 意味・示唆

  • 備蓄はエネルギー安全保障の重要な柱の一つ。IEA基準の2倍超を維持。
  • 備蓄が多いほど供給途絶への耐性が高まるが、維持コストも大きい。

📝 出題アイデア

  • 読取日本の石油備蓄日数(2024年8月)とIEAの推奨基準を答えよ。
  • 記述日本が大規模な石油備蓄を維持する理由を、国内の資源事情と関連付けて述べよ。
  • 記述石油備蓄法が制定された背景(1975年)を説明せよ。
  • 読取:日本203日分、IEA推奨90日分。
  • 記述:日本は原油の約95%を輸入(うち中東依存約95%)に依存しており、地政学リスクによる供給途絶が経済・生活に直結するため、十分な備蓄が必要。
  • 背景:1973年の第一次オイルショックで石油供給が急減し、社会・経済が混乱した教訓から、翌年度に石油備蓄の義務化を定めた石油備蓄法が制定された。
図13-1-7

原油の円建て・ドル建て輸入CIF価格の推移

図13-1-7 原油の円建て・ドル建て輸入CIF価格の推移
資源エネルギー庁「エネルギー動向(2025年6月版)」
🔍 クリックで拡大

📈 特徴(読み取り)

  • 2008年8月ピーク:約9.2万円/kl(ドル建ても過去最高水準)。
  • 2009年1月急落:約2.5万円/kl(リーマンショック後の需要急減)。
  • 2022年7月:約10万円/kl(ウクライナ侵略後の高騰で円建て最高値)。
  • 円建てとドル建ての乖離が拡大→円安の影響を反映。

🔍 背景・原因

  • ドル建て価格はOPECの生産調整・地政学リスク・世界需要で変動。
  • 2022年以降の円安進行で円建て価格がドル建て価格を超過する局面が発生。

💡 意味・示唆

  • 日本の輸入コストは「原油価格×為替」の掛け算で決まる二重リスク構造。
  • 円安は原油輸入コストを増大させ、エネルギー費用・物価を押し上げる。

📝 出題アイデア

  • 読取2022年7月の円建て原油価格が過去最高となった2つの要因を答えよ。
  • 計算ドル建て価格が同じでも、円安により円建て価格はどう変化するか説明せよ。
  • 記述2009年に原油価格が急落した国際的背景を述べよ。
  • 読取:①ロシアのウクライナ侵略によるエネルギー価格の高騰(ドル建て上昇)、②日本円の急速な円安進行(円建て換算額の拡大)。
  • 計算:円建て価格=ドル建て価格÷為替レートなので、円安(円の価値低下)になると同じドル建て価格でも円換算額が増大する。
  • 記述:2008年のリーマンショックによる世界的な景気後退で原油需要が急減し、供給過剰となった。
図13-1-8

原油の輸入価格と輸入額が輸入全体に占める割合の推移

図13-1-8 原油の輸入価格と輸入額が輸入全体に占める割合の推移
資源エネルギー庁「エネルギー動向(2025年6月版)」
🔍 クリックで拡大

📈 特徴(読み取り)

  • 第二次オイルショック後:輸入全体に占める原油輸入額の割合が35%超に達した。
  • 1980年代半ば以降:原油安・省エネにより10〜15%程度に低下・安定。
  • 2023年度:10.4%(高値後の下落局面)。

🔍 背景・原因

  • 1970年代は原油高騰+日本の輸入に占める石油の大きさで割合が極大化。
  • 省エネ・脱石油・製品輸入の多様化で相対的シェアが低下。
  • 2022年は価格高騰で再び上昇。

💡 意味・示唆

  • 原油価格の変動が日本の貿易収支に与えるインパクトの大きさを示す。
  • 輸入量は減っても価格が上がれば割合は増大→ 量的節約だけでは貿易赤字を防げない。

📝 出題アイデア

  • 読取第二次オイルショック後に原油輸入額が輸入全体に占めた割合を答えよ。
  • 記述原油輸入量が減少しているにもかかわらず、輸入額の割合が高くなる局面がある理由を述べよ。
  • 組合せグラフの高値局面(1980年前後・2008年・2022年)とその背景を対応させよ。
  • 読取:35%超。
  • 記述:輸入量が減っても、原油の国際価格が高騰したり円安が進行したりすると、円換算の輸入額が増大するため。
  • 組合せ:1980年前後=第二次オイルショック/2008年=世界的資源価格高騰(リーマン前)/2022年=ウクライナ侵略後の資源高+円安。

まとめ & 出典

節横断でこんな大問も作れる