エネルギー動向 2025年6月版|第2章 第2節「一次エネルギーの動向(国際)」(石炭) ≡ 総合目次 🔗 公式 ↗

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国際エネルギー動向 | 第2章 第2節

一次エネルギーの動向 ― 石炭

世界の石炭埋蔵量・生産・消費・貿易・価格の全11図を読み解く。

各図 =「問題の素材(グラフ)」+「読み取りポイント」+「背景・意味」+「出題アイデア+解答例」。図はクリックで拡大。

出典:資源エネルギー庁「エネルギー動向(2025年6月版)」第2章第2節を基に作成

この節で何が言えるか(3行サマリー)

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図22-1-31

世界の石炭確認埋蔵量(2020年末)

図22-1-31 世界の石炭確認埋蔵量(2020年末)
資源エネルギー庁「エネルギー動向(2025年6月版)」
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📈 特徴(読み取り)

  • 世界全体の石炭確認埋蔵量は10,741億トン。
  • 可採年数139年——石油(約50年)・天然ガス(約50年)より格段に長い。
  • 上位は米国・ロシア・豪州・インド・中国の順で、非OPEC・非中東に広く分散している。

🔍 背景・原因

  • 石炭は地質学的に広域に分布しており、輸送インフラも比較的整備されている。
  • 先進国(米・露・豪)に大規模な埋蔵量が存在し、政治的安定度が比較的高い産地が多い。

💡 意味・示唆

  • 「量の問題」はなく「CO₂の問題」が使用制限の主因——埋蔵量の枯渇ではなく、気候変動対策が石炭使用を制約する。
  • 供給安全保障の観点では石炭が最も安定的な資源であり、新興国が石炭離れしにくい根本的な理由となっている。

📝 出題アイデア

  • 読取世界の石炭確認埋蔵量の可採年数はおよそ何年か。石油と比較して述べよ。
  • 記述石炭の埋蔵量が多いにもかかわらず脱炭素政策で削減対象となる理由を述べよ。
  • 組合せ石油・天然ガス・石炭の可採年数を大小の順に並べよ。
  • 読取:約139年。石油の可採年数(約50年)と比べておよそ3倍近く長く、化石燃料の中で最も長い。
  • 記述:石炭は燃焼時のCO₂排出量が石油・天然ガスより多く、地球温暖化の主要因とされるため。気候変動枠組み条約・パリ協定の目標達成には石炭消費の大幅削減が必要であり、「量の問題ではなく排出量の問題」として規制対象となっている。
  • 組合せ:石炭(約139年)>天然ガス(約50年程度)≒石油(約50年程度)の順。石炭が最も長い。
図22-1-32

世界の石炭生産の推移(国別)

図22-1-32 世界の石炭生産の推移(国別)
資源エネルギー庁「エネルギー動向(2025年6月版)」
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📈 特徴(読み取り)

  • 2023年の世界石炭生産は過去最高の89.6億トンを記録。
  • 中国が世界全体の半分以上(55%程度)を占める圧倒的なシェア。
  • インド・インドネシア・豪州・米国が中国に続く主要産炭国。

🔍 背景・原因

  • 中国の急速な工業化・電力需要増が国内石炭生産を押し上げてきた。
  • インドは経済成長と電力不足解消のために国内石炭増産を推進している。
  • 豪州・インドネシアはアジア向け輸出を目的とした増産が続いている。

💡 意味・示唆

  • 生産の中国集中は国内消費も中国が主に担う構図を示し、中国の石炭政策が世界全体の需給を左右する。
  • 「生産過去最高」と国際的脱炭素目標の矛盾が鮮明であり、気候交渉上の大きな争点となっている。

📝 出題アイデア

  • 読取2023年の世界石炭生産量はおよそ何億トンで、前年比どのような傾向か。
  • 記述中国が世界の石炭生産で過半を占める理由を述べよ。
  • 正誤「世界の石炭生産は脱炭素政策により2020年以降減少している」の正誤を判定し、理由を述べよ。
  • 読取:約89.6億トンで過去最高を更新し、増加傾向が継続している。
  • 記述:中国は世界最大のエネルギー消費国であり、急速な経済成長・工業化・都市化に伴う電力需要の増大を主に石炭火力で賄ってきた。自国内に大規模な石炭資源を有するため、安全保障・コスト両面で国内生産が優先されてきた経緯がある。
  • 正誤:誤り。2020年以降も世界の石炭生産は増加を続け、2023年には過去最高の89.6億トンを記録した。脱炭素政策が進む先進国では生産が減少しているが、中国・インド等の新興国の増産がそれを上回っている。
図22-1-33

世界の石炭生産の推移(炭種別)

図22-1-33 世界の石炭生産の推移(炭種別)
資源エネルギー庁「エネルギー動向(2025年6月版)」
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📈 特徴(読み取り)

  • 2023年の石炭生産のうち一般炭が81.2%を占める。
  • 原料炭(鉄鋼用コークス炭)は約19%——製鉄用に主に利用される。
  • 一般炭は発電用が主要用途で、その増産が生産全体を牽引している。

🔍 背景・原因

  • 発電用石炭(一般炭)の需要増大が全体をけん引——新興国の石炭火力発電所増加が背景。
  • 製鉄用原料炭は世界の鉄鋼生産量(特に中国)に連動して需要が変動する。

💡 意味・示唆

  • 発電用石炭が生産の8割超を占めるため、電源の脱炭素化(再エネ・原子力への転換)が石炭需要削減の主戦場となる。
  • 原料炭は高炉製鉄の還元剤として代替が困難であり、水素還元製鉄技術の実用化まで需要が維持される見込み。

📝 出題アイデア

  • 読取2023年の世界石炭生産のうち一般炭の比率はおよそ何%か。
  • 記述一般炭と原料炭の主な用途の違いを説明せよ。
  • 小論電力部門と鉄鋼部門でそれぞれ石炭から脱却する際の難易度の違いを論ぜよ。
  • 読取:約81.2%。
  • 記述:一般炭(蒸気炭)は主に火力発電所での燃料用(熱源)として使用される。原料炭(コークス炭)は高炉製鉄においてコークスの原料として用いられ、鉄鉱石の還元に不可欠な素材である。
  • 小論:電力部門では太陽光・風力・原子力等の非化石電源への転換が技術的に可能であり、コストも急速に低下しているため脱石炭の難易度は相対的に低い。一方、鉄鋼部門における高炉製鉄は石炭(コークス)を鉄鉱石の還元剤として使用しており、電炉転換・水素還元製鉄等の代替技術はコスト・スケール面でいまだ実用化途上にある。したがって鉄鋼部門の脱石炭は技術的難易度が高く、移行に長期間と大規模投資を要する。
図22-1-34

世界の石炭消費の推移(国別)

図22-1-34 世界の石炭消費の推移(国別)
資源エネルギー庁「エネルギー動向(2025年6月版)」
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📈 特徴(読み取り)

  • 2023年の世界石炭消費量は過去最高の86.9億トンを記録。
  • 中国が世界全体の半分以上を消費しており、圧倒的に最大の消費国。
  • インドの消費が急増し、アジア圏全体が世界の消費増をけん引している。

🔍 背景・原因

  • 新興国(中国・インド・東南アジア)の旺盛な電力需要とエネルギー安全保障上の石炭選択が消費増の主因。
  • 欧米等の先進国は脱石炭政策で消費を減少させているが、新興国の増加分に吸収される。

💡 意味・示唆

  • 「世界全体の石炭消費が過去最高」という現実は、脱炭素の難しさを象徴している。
  • 先進国が削減しても新興国の増加で相殺される構図が続く限り、気候目標の達成は困難である。

📝 出題アイデア

  • 読取2023年の世界石炭消費量は過去最高か最低か。また最大の消費国はどこか。
  • 記述先進国が石炭消費を削減しているにもかかわらず世界全体の消費が増加している理由を述べよ。
  • 小論中国・インドの石炭消費増と国際的な脱炭素目標の矛盾をどう解決すべきか論ぜよ。
  • 読取:過去最高(86.9億トン)。最大消費国は中国。
  • 記述:先進国(欧米・日本等)では再生可能エネルギーの普及・脱炭素政策による石炭火力廃止が進み消費は減少傾向にある。しかし中国・インドをはじめとする新興国では経済成長・工業化・都市化に伴う電力需要が急増しており、安価で安定した電源として石炭火力への依存が続いている。先進国の削減量を新興国の増加量が大幅に上回る構図が世界全体での消費増につながっている。
  • 小論:中国・インドは経済発展・貧困削減を優先課題とするため、高コストの再エネへの急速な転換は困難である。解決策としては①先進国から途上国への技術・資金移転(グリーン気候基金等)、②中国・インドが参加する多国間の脱炭素協力枠組みの強化、③石炭から天然ガスへの橋渡し(短期的にCO₂を削減しつつ移行期間を設ける)、④CCS(炭素回収・貯留)技術の普及支援などが考えられる。「先進国が削減すれば解決する」という発想を超え、新興国の発展と脱炭素を両立させる国際協力が不可欠である。
図22-1-35

世界の石炭消費の推移(用途別)

図22-1-35 世界の石炭消費の推移(用途別)
資源エネルギー庁「エネルギー動向(2025年6月版)」
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📈 特徴(読み取り)

  • 2022年の石炭消費において発電用が66.9%と最大の用途。
  • コークス製造用が12.0%——製鉄(高炉)向けに利用。
  • 産業用熱利用・その他が続く構成。

🔍 背景・原因

  • 発電用石炭は新興国の石炭火力発電所増設を反映しており、需要の7割近くを占める構造が固定化している。
  • コークス製造は高炉製鉄に不可欠であり、代替手段(電炉・水素還元)の普及が遅れている。

💡 意味・示唆

  • 石炭消費の3分の2以上が発電用であることから、電力の脱炭素化(再エネ・原子力転換)が石炭需要削減の最大の鍵。
  • 製鉄用(コークス)は水素還元鉄鋼技術が実用化されるまで代替困難な「削減困難セクター」に位置づけられる。

📝 出題アイデア

  • 読取2022年の世界石炭消費において発電用は何%か。最大の用途は何か。
  • 記述石炭消費の削減にあたって発電部門と製鉄部門で対応策が異なる理由を述べよ。
  • 組合せ石炭用途(発電・コークス製造・産業熱)と2022年の比率を対応させよ。
  • 読取:発電用66.9%。最大の用途は発電用。
  • 記述:発電部門では太陽光・風力・原子力等の非化石電源が技術的・経済的に代替可能となっており、石炭から非化石電源への転換は比較的実施しやすい。一方、製鉄部門における高炉製鉄は鉄鉱石の還元にコークス(石炭由来)を必要とし、電炉や水素還元製鉄等の代替技術はコスト・生産規模の面で実用化が道半ばであるため、短期的な代替が困難である。
  • 組合せ:発電用=66.9%/コークス製造用=12.0%/産業用熱利用・その他=残余(約21%)。
図22-1-36

世界の石炭輸出(2023年)

図22-1-36 世界の石炭輸出(2023年)
資源エネルギー庁「エネルギー動向(2025年6月版)」
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📈 特徴(読み取り)

  • 2023年の最大輸出国はインドネシア(36.6%)。
  • 豪州(23.9%)が第2位で続く。
  • ロシア・南アフリカ・米国が主要輸出国群を形成している。

🔍 背景・原因

  • インドネシアは低品位(亜瀝青炭・褐炭系)の一般炭を大量に輸出しており、アジアの旺盛な発電需要に対応している。
  • 豪州は高品位一般炭と原料炭の双方を輸出し、品質面で差別化している。

💡 意味・示唆

  • 日本の石炭輸入先として豪州・インドネシアが重要——両国の輸出政策・天災・外交関係が日本の調達コストに直結する。
  • インドネシアが2022年に実施した一時的輸出禁止措置は、調達先集中リスクを浮き彫りにした。

📝 出題アイデア

  • 読取2023年の世界石炭輸出でトップ2はどこか。それぞれのシェアを答えよ。
  • 記述豪州とインドネシアの石炭輸出の特徴の違いを述べよ(品位・用途)。
  • 正誤「2023年の世界石炭輸出において、豪州がインドネシアを上回って最大輸出国である」の正誤を判定し、理由を述べよ。
  • 読取:第1位インドネシア(36.6%)、第2位豪州(23.9%)。
  • 記述:インドネシアは主に低カロリーの亜瀝青炭・褐炭系の一般炭(発電用)を大量輸出しており、価格が安くアジアの中小規模電力会社に多く利用される。豪州は高品位の瀝青炭(発電用)に加え、製鉄用コークス炭(原料炭)も輸出しており、品質・用途の両面で幅広い需要に対応している。
  • 正誤:誤り。2023年の最大輸出国はインドネシア(36.6%)であり、豪州(23.9%)は第2位である。
図22-1-37

世界の石炭輸入(2023年)

図22-1-37 世界の石炭輸入(2023年)
資源エネルギー庁「エネルギー動向(2025年6月版)」
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📈 特徴(読み取り)

  • 2023年の最大輸入国は中国(31.9%)。
  • インド・日本・韓国・台湾などのアジア勢が上位を占める。
  • 欧州は石炭火力廃止が進み、輸入量が縮小傾向にある。

🔍 背景・原因

  • 中国は国内石炭生産が多いが、電力不足時(特に2021年・2022年)に輸入を急増させた経緯がある。
  • インドは国内炭の品位が低く、高品位炭の輸入で補っている。
  • 欧州は脱炭素政策(石炭火力廃止)が進み輸入需要が低下している。

💡 意味・示唆

  • アジア市場に石炭輸入が集中——中国・インドの需要動向が石炭国際価格に直結し、日本の輸入コストにも影響する。
  • 欧州の石炭輸入縮小は脱炭素進展の証拠であり、先進国と途上国の「分断」が鮮明。

📝 出題アイデア

  • 読取2023年の世界石炭輸入で最大の輸入国はどこか。そのシェアはおよそ何%か。
  • 記述中国が石炭の最大生産国でありながら輸入も行う理由を説明せよ。
  • 組合せ石炭の主要輸入国(中国・インド・日本)と輸入の主な理由を対応させよ。
  • 読取:中国、約31.9%。
  • 記述:中国は国内石炭生産量が世界最大であるが、膨大な電力需要と製鉄需要を賄いきれない時期(電力不足時)や、国内輸送コストが高い沿海部では輸入炭の方が割安になる場合がある。また品位・炭種の補完(高品位炭や特定の原料炭の調達)を目的とした輸入も行われている。
  • 組合せ:中国=電力不足時の補完・沿海部での経済性・品位補完/インド=国内炭品位が低いため高品位輸入炭で補完/日本=国内石炭資源をほぼ持たないため石炭消費のほぼ全量を輸入に依存。
図22-1-38

世界の主な石炭貿易(2023年見込み)

図22-1-38 世界の主な石炭貿易(2023年見込み)
資源エネルギー庁「エネルギー動向(2025年6月版)」
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📈 特徴(読み取り)

  • アジア市場への貿易集中が顕著——インドネシア・豪州からアジア向けのフローが主流。
  • 欧州市場は縮小傾向が続いている。
  • ロシアの欧州向け輸出が減少し、アジア向けにシフトしている。

🔍 背景・原因

  • 欧州はウクライナ侵攻後にロシア産石炭への制裁を発動し、石炭火力廃止も加速させた。
  • ロシアは制裁を受けた欧州市場から離れ、インド・中国等アジア向けに輸出先を切り替えた。
  • アジアの旺盛な電力需要が石炭貿易の市場重心をアジアに引き寄せている。

💡 意味・示唆

  • 石炭貿易の「アジア市場化」が加速し、アジア市場の価格が国際石炭価格の指標になりつつある。
  • 欧州の脱炭素が進む一方でアジアの依存が継続し、世界全体の削減が困難な構造を示している。

📝 出題アイデア

  • 読取2023年の石炭貿易において、輸出先の地域的傾向はどのようになっているか。
  • 記述ウクライナ侵攻後にロシアの石炭輸出先が変化した理由を述べよ。
  • 小論先進国の石炭消費削減が世界全体の脱炭素に不十分な理由を、石炭貿易の観点から論ぜよ。
  • 読取:アジア市場への集中が顕著で、インドネシア・豪州・ロシアからの輸出がいずれもアジア(中国・インド・日本・韓国等)に向かう流れが主流となっている。欧州向け輸出は縮小している。
  • 記述:ロシアのウクライナ侵攻(2022年2月)後、欧米がロシア産石炭に制裁を発動し、欧州向けの輸出が事実上困難になった。ロシアは代替市場として中国・インド等アジア諸国への輸出を拡大し、アジアへの輸出先転換が急速に進んだ。価格面でも割引価格で輸出することでアジア市場でのシェアを確保している。
  • 小論:欧州諸国の石炭廃止・輸入削減は先進国の脱炭素モデルとして重要だが、欧州が輸入しなくなった石炭はロシア・インドネシア・豪州からアジア諸国に流れ、アジアの石炭消費増を支える形になっている。つまり「欧州が買わなくなっても、中国・インドが買う」という需要代替が起きており、世界全体の石炭消費量は減らない。先進国の削減だけでなく、新興国の転換を支援しなければ地球規模での脱炭素は実現しないことが、石炭貿易フローの変化から読み取れる。
図22-1-39

日本の豪州炭輸入CIF価格の推移

図22-1-39 日本の豪州炭輸入CIF価格の推移
資源エネルギー庁「エネルギー動向(2025年6月版)」
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📈 特徴(読み取り)

  • 2024年の価格水準:一般炭約160ドル/トン、原料炭約270ドル/トン。
  • 2022年に大幅高騰した後、下落傾向にある。
  • 原料炭が一般炭より高い傾向が一貫して続いている。

🔍 背景・原因

  • ウクライナ侵攻後の欧州での石炭需要増(ロシア産代替)で2022年に価格が急騰。
  • 豪州は日本の長年の石炭輸入先であり、長期契約と市場価格の双方で価格が形成される。
  • 2022年の中国の豪州炭禁輸解除後、中国の調達が戻ったことで市場の需給が変化した。

💡 意味・示唆

  • 石炭輸入価格は日本の電力コスト・鉄鋼コストに直結——価格高騰時は電力料金・物価に波及する。
  • 豪州炭価格の変動は日本の製造業(特に鉄鋼・セメント・化学)の競争力に影響する。

📝 出題アイデア

  • 読取2024年の日本の豪州一般炭輸入CIF価格はおよそ何ドル/トンか。
  • 記述2022年に石炭価格が急騰した国際的要因を述べよ。
  • 計算原料炭が一般炭の何倍の価格か、2024年の数値(一般炭160ドル、原料炭270ドル)を用いて算出せよ。
  • 読取:約160ドル/トン。
  • 記述:2022年2月のロシアによるウクライナ侵攻後、欧米がロシア産石炭への制裁を発動した。欧州がロシア産石炭の代替調達を急いだことで国際的な石炭需要が急増し、豪州炭を含む輸出炭価格が大幅に高騰した。さらに欧州での天然ガス不足による石炭火力への回帰も価格上昇を加速させた。
  • 計算:270÷160≒1.69倍(約1.7倍)。原料炭は一般炭の約1.7倍の価格水準。
図22-1-40

豪州一般炭・高品位原料炭価格の推移

図22-1-40 豪州一般炭・高品位原料炭価格の推移
資源エネルギー庁「エネルギー動向(2025年6月版)」
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📈 特徴(読み取り)

  • 2024年9月時点:一般炭139ドル/トン、高品位原料炭183ドル/トン。
  • 2022年の高騰(一般炭400ドル超)からの下落過程にある。
  • 原料炭プレミアム(原料炭が一般炭を上回る価格差)が継続している。

🔍 背景・原因

  • 欧州の石炭需要後退(脱炭素・エネルギー転換)で一般炭の国際需給が緩和し、価格が落ち着いた。
  • 原料炭は中国・インドの鉄鋼需要(高炉生産)に連動して価格が形成される。
  • 豪州の生産が安定しており、供給サイドの混乱は限定的。

💡 意味・示唆

  • 価格正常化は日本の電力・鉄鋼コストの安定に寄与するが、将来的な炭素税・EU炭素国境調整措置(CBAM)が輸入炭コストを押し上げる可能性がある。
  • 長期的にはカーボンプライシングが石炭の価格競争力を失わせる方向に働く。

📝 出題アイデア

  • 読取2024年9月の豪州一般炭と高品位原料炭の価格をそれぞれ答えよ。
  • 記述2022年の石炭価格急騰後に価格が下落した要因を述べよ。
  • 正誤「豪州の一般炭価格は常に原料炭価格より高い」の正誤を判定し、理由を述べよ。
  • 読取:一般炭139ドル/トン、高品位原料炭183ドル/トン。
  • 記述:欧州でのロシア産代替需要が一巡し、欧州各国の脱石炭・再エネ転換が進んだことで一般炭の需給が緩和した。加えて中国経済の回復鈍化で鉄鋼・電力需要の伸びが予想を下回ったことも価格下落に寄与した。豪州の生産が安定的に継続していることも供給増として価格を押し下げている。
  • 正誤:誤り。グラフに示される通り、原料炭(高品位コークス炭)は一般炭よりも高い価格水準で推移している。製鉄用として品質が要求される原料炭は代替が困難なためプレミアムが付くのが通常である。
図22-1-41

化石エネルギーの単位熱量当たりCIF価格の推移

図22-1-41 化石エネルギーの単位熱量当たりCIF価格の推移
資源エネルギー庁「エネルギー動向(2025年6月版)」
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📈 特徴(読み取り)

  • 石炭が基本的に石油・LNGより低廉——単位熱量当たりで最安値を維持する傾向。
  • LNGは2022年に特に大幅に高騰し、他の化石燃料を大きく上回った。
  • 石油も2022年に高騰し、2024年以降は落ち着き傾向にある。

🔍 背景・原因

  • 石炭の豊富な埋蔵量・広域分散・輸送のしやすさが価格を下支えし、他の化石燃料より低廉になっている。
  • LNGは液化・輸送設備のコストが加算され割高になりやすく、2022年のウクライナ危機で需給逼迫が加速した。
  • 石油はOPEC+の減産管理と地政学的リスクで価格が変動する。

💡 意味・示唆

  • 「石炭は安い」という事実が途上国の石炭離れを困難にする根本的理由——経済合理性の観点では石炭が最も安価な電源となりうる。
  • カーボンプライシング(炭素税・排出権取引)が導入されれば、CO₂コストが上乗せされ石炭の価格競争力が逆転する可能性がある。

📝 出題アイデア

  • 読取単位熱量当たり価格で最も安価な化石エネルギーはどれか。
  • 記述石炭が低廉であることが新興国の脱炭素を困難にする理由を述べよ。
  • 小論カーボンプライシング(炭素税・排出権取引)が化石エネルギー間の価格競争力に与える影響を論ぜよ。
  • 読取:石炭(一般炭)。単位熱量当たりで最も安価な化石エネルギーとして推移している。
  • 記述:新興国・途上国は電力インフラの整備・経済発展において最も安価なエネルギー源を優先的に選択する傾向がある。石炭は単位熱量当たりコストが石油・LNGより安く、かつ供給が安定しているため、再生可能エネルギーや天然ガスへの転換より石炭火力の維持・拡大を選ぶ経済的インセンティブが働く。脱炭素には追加コストが伴うため、財政余力の乏しい途上国にとってはその負担が大きな障壁となっている。
  • 小論:カーボンプライシングとは炭素排出にコストを付ける制度(炭素税または排出権取引)である。石炭は単位エネルギー当たりのCO₂排出量が石油・天然ガスより多いため、炭素価格が付けられると石炭のコスト上昇が最も大きくなる。その結果、石炭<石油<LNG<再エネという現在の価格序列が変化し、石炭の割安性が失われる可能性がある。炭素価格が十分に高ければ再生可能エネルギーが石炭火力より安価になり、電力転換が経済合理的になる。ただしカーボンプライシングを全世界で導入しなければ「炭素リーケージ」(規制の緩い国への移転)が生じるため、国際的な価格設定の調整が課題となる。

まとめ & 出典

石炭節の横断大問候補(複数図を組み合わせた論述問題)